weeklyアキタミチコラム

九州産直クラブのカタログ連載中の畜産・農産コラムをまとめています!

15045nezasu vol.4 私たちの生活が、国産のお肉が買えなくする?  

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風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、回りまわって…というか、世の中で起こっていることが、自分の生活に結構直接的に影響を及ぼすことがあるものなのだと、改めて感じています。

そのひとつが、最近の肉類の値上げ。私たちの農場である『菊池農場』や『やまあい村』とは、もともと「市場価格」ではなく「生産原価※育てるためにどれだけコストがかかるかを基本に価格を決めること」をベースに関係づくりをしてきていたので、世の中の価格と比べて決して安くはありませんでした。しかし、最近一般価格がじわじわ値上がりし、部位によってはほとんど変わらないようなものもあるので、スーパーで一般価格を見てびっくり。世の中のお肉の値段が少しずつ値上がりしているのが伺えます。

こんなとき、フツウであれば、肉が高い=牛を育てると儲かる!=出荷を増やそう!となり、需要と供給のバランスがとれて価格も徐々に下がってくるものですが、そうなっていかないところが日本の畜産の未来に不安を感じるところ…。2010年の宮崎の口蹄疫による30万頭規模の牛・豚の殺処分や東日本大震災など、畜産農家への直接的な大きな打撃と、生産者の高齢化による廃業が相次ぎ、一方で新しく始めるには設備投資の金額も大きいので、なかなか新規で畜産業界に参入する、という事例は多くありません。

牛肉が値上がりすると付随して、豚や鶏も値上がりするので「国産」の食肉がますます手に入りにくくなることが見込まれます。

豊臣秀吉の「兵糧攻め」ではないけれど、水や食べ物、環境が整っていなければ、人は生きていくことができません。それだけではなくて、物を作って人に販売したりする生産活動も、結局もとをたどれば、水や自然資源が原料になっていて、環境や安全な水がなければ、お金を獲得することもできません。今日の財布、今日の家計のことももちろん大切だけれども、それだけが判断基準になってしまうのは、ゆるやかに自分の首を絞めるようなもの。自分たちの「選ぶ力」を今のうちにしっかり培っておかなければ大変なことになる気がしてなりません。